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東京地方裁判所 平成3年(特わ)1113号 判決 1992年2月12日

本店所在地

東京都目黒区東山三丁目一番一九号

メゾン池尻大橋七〇七号

株式会社

環太平洋研究所

(代表者代表取締役 丸橋勇)

昭和六三年一二月八日以前の商号は株式会社パン・パシフィック・インスティチューツ

代表者代表取締役

丸橋將一

本籍

東京都台東区三ノ輪一丁目五三番地

住居

東京都北区赤羽台三丁目二五番二号

会社員

丸橋將一

昭和九年二月一七日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 西村逸夫 出席

主文

被告人株式会社環太平洋研究所を罰金四五〇〇万円に、被告人丸橋將一を懲役一年四月に処する。

被告人丸橋將一に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告会社株式会社環太平洋研究所(昭和六三年一二月八日以前の商号は、株式会社パン・パシフィック・インスティチューツ)は、東京都目黒区東山三丁目一番一九-七〇七号(平成二年六月三〇日以前は、同都千代田区麹町二丁目一二番地、同元年三月二〇日以前は、同町三丁目三番地)に本店を置き、外国語及び職業教育事業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人丸橋將一は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人丸橋は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、授業料等の売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二三八二万四一三一円(別紙の一の1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同六二年二月二三日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億五三五四万三六五五円であり、これに対する法人税額が六二八三万円一三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第八五六号の1)を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九三二六万一〇〇〇円と右申告税額との差額三〇四二万九七〇〇円(別紙二の1の脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二二一五万七九七四円(別紙一の2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同六三年二月二三日、東京都千代田区九段南一丁目一番一五号所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六二五七万二〇〇〇円であり、これに対する法人税額が二三二五万二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の2)を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九〇二六万一九〇〇と右申告税額との差額六七〇一万一七〇〇円(別紙二の2の脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億八一七万四〇〇三円(別紙一の3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年二月二三日、前記麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四九〇五万三五九円であり、これに対する法人税額が一七八九万八八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の3)を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億二六七一万四四〇〇円と右申告税額との差額一億八八一万五六〇〇円(別紙二の3の脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人丸橋の検察官に対する供述調書(二通)

一  丸橋和子の検察官に対する供述調書(三通)

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、登記仕入高調査書、水道光熱費調査書、事業税認定損調査書

一  検察事務官田中浩明作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿及び閉鎖登記簿謄本

判示第一、第二の事実について

一  大蔵事務官作成の雑収入調査書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(六一・一二期)(平成三年押第八五六の1)

判示第二、第三の事実について

一  大蔵事務官作成の旅費交通費調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の為替差損調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(六二・一二期)(前同押号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の為替差益調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(六三・一二期)(前同押号の3)

(適用法令)

罰条 被告会社関係

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

被告人丸橋関係

法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

併合罪処理 被告会社関係

刑法四五条前段、四八条二項

被告人丸橋関係

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

執行猶予 被告人丸橋関係

刑法二五条一項

(量刑事情)

法人税の脱税額は、三年間で合計二億六〇〇万円にのぼり、脱税のための手口も、あれこれ売上除外の工作をし、虚偽の帳簿類まで作るなど、計画的で巧妙であり、税務調査が行われることを知ると、罪証拠隠滅のための工作も行っており、犯情は必ずしもよくない。しかしながら、被告人丸橋は、長年英語教育に携わり、学校法人を設立するため必要な資金を蓄えようとして本件脱税に及んだもので、その動機にはいささか酌むべき点もあること、脱税した税金についてはその後すべて納付していること、被告会社の事業は現在余り芳しくないことなどを考慮して、主文のとおり量刑した。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙一の1

修正損益計算書

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

<省略>

別紙一の2

修正損益計算書

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

別紙一の3

修正損益計算書

自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

<省略>

別紙二の1

脱税額計算書

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

<省略>

別紙二の2

脱税額計算書

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

別紙二の3

脱税額計算書

自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

<省略>

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